仕事の業種File7:農林水産業ってなに?どんな仕事をするの?

農林水産業とは、農業・林業・漁業、3業種ともに食物の生産に従事する業務で、産業分類では第一次産業に区分されます。鉱業と一緒になって日本経済の主要産業になっていますが、国民総生産の1.3%しか占めていません。

◆農業
農業の仕事のなかでも『耕種農業』『畜産農業』『アグリビジネス』と3種類に分けられます。
・耕種農業
食用作物であるお米や穀物、野菜、果物、花などの植物を栽培します。また、なたねや、葉たばこ、生茶などの工芸作物(比較的長期にわたる加工、製造工程を経て製品にいたる作物)、牧草類などの飼料作物(家畜の飼料にする目的で栽培される作物)の栽培も耕種農業に含まれます。

・畜産農業
牛・豚・鶏・羊などの動物の中でも家畜・家禽を飼育、肥育、ふ卵する業種の総称です。
養蚕や養蜂、毛皮獣や実験用動物等の飼育も畜産農業に含まれます。

・アグリビジネス
アグリカルチャー(農業)とビジネス(事業)を組み合わせた造語です。生産者を支える農業資材・種苗メーカーなどの仕事や、生産者と消費者とをつなげる流通・販売の仕事など、農業に関する幅広い仕事があります。

◆林業
建築材料や家具、紙製品など、私たちの生活に欠かせない製品の原料となる木材を生産する職業が林業です。森林に入り、苗木を植え育て、育成した樹木を伐採して収穫し、木材を売ります。森林による生産物は木材のほか、薪、木炭、漆、竹、椎茸などもあります。また、森林環境の維持・保全のために土壌の流出を防いだり、雨水を貯水して洪水を防いだり、災害を防ぐ重要な役割があります。

◆水産業
水産物を捕獲・養殖・加工などで取り扱う産業のことです。漁業と混同されやすいですが、水産業という場合には漁業、水産加工業、製塩業があります。

・漁業
日本で行われている漁業は「沿岸漁業」「沖合漁業」「遠洋漁業」に大別されます。漁業の収入源は魚介類の水揚げ量に左右されるため、しっかりと経験を積み、技術を養えば収入を増やすことも可能です。「沿岸漁業」は、住んでいる町の目の前の沖で漁をするので、その土地ならではの魚を獲ってきます。また全国各地で漁法もいろいろあります。「沖合漁業」は、日本近海の2~3日で帰れる範囲の海が漁場で、20~150トンくらいの漁船を使い、まき網漁などでイワシ、サンマ、サバ、アジ、イカなどをとります。「遠洋漁業」は、代表的なのはマグロやカツオ漁業です。赤道直下の南太平洋や南アフリカ沖など世界の海が仕事場です。他には、ニュージーランドなどでイカをとってくる漁業や、トロール漁、海外まき網漁と呼ばれる大型まき網漁もあります。また、「養殖漁業」は魚や貝、海藻などを人工的な池や海で大きくなるまで育て収穫します。よく混同される「栽培漁業」は、卵をふ化させて稚魚、稚貝をある程度まで育てた後、自然の海や川に放し大きくなったら収穫します。

・水産加工業
水産加工品をつくるために魚や貝、海藻などの水産物を加工します。水産物を加工する理由には、水産物を生の状態以上においしくするという目的のほか、食品の保存性を高めるという狙いがあります。代表的なものは、「缶詰」「佃煮」「冷凍食品」「海藻乾製品」「練製品」「乾製品」などがあります。
大まかな仕事内容は、仕入れ→加工→調理→包装→検品→出荷。
加工品によりますが、加工にあたっての技術の習得には何年もかかるものがあり、の深い仕事です。

・製塩業
製塩とは、岩塩や海水、塩湖の湖水を原料とし、私たちの生活に欠かせない塩を製造します。
諸外国の多くは岩塩や塩湖などの塩資源に恵まれていますが、日本ではそのような塩資源には恵まれておらず、塩づくりに適した気象条件にも恵まれていませんでした。そこで、昔から日本では海水を原料とした独特(揚浜式塩田・入浜式塩田・流下式塩田などで濃縮した海水を釜で煮詰める)の製塩をおこなってきました。
現在では、イオン交換膜法製塩が取り入れられていますが、昔ながらの海水を用いて太陽熱と風、火を使った製法による自然塩の人気は高いです。
一定の品質の塩を作るには経験や技術が必要です。さらには重労働で、高温での作業もあるため体力も必要になります。

農林水産業は、私たちが生きていく上では欠かせない”食”に関する業界です。近年では生産者の高齢化が進んでおり、若い世代の就業ニーズが高い業界でもあります。農林水産業について、もっと知るためには実際に体験してみるのも手です。インターンシップやイベント体験などがあれば積極的に参加してみましょう!